20230509-ルーシー・アンカテル

「そう、ガーダだったの。運が良かったわね、この人」

『ホロー荘の殺人』を締めくくる、ルーシーのこの台詞。なんだかずっと頭の中をぐるぐるしている。

ガーダの何が「運が良かった」のか。さくっと死ねたこと?死んで人生から解放されたこと?この先長い贖罪の時間を過ごさずに済んだこと?ヘンリエッタと夫の関係を知らずに死んだこと?

普通の見方をすれば、ガーダは「運悪く」死んだことになるだろう。運悪くヘンリエッタがガーダの企みに気づき、運悪くヘンリエッタの毒殺に失敗し、運悪く刑事が毒入りのグラスをガーダに差し出し、運悪くガーダがそれを飲んでしまい。

それをすべて反転させる、ルーシーの「運が良かったわね」という言葉。そしてその台詞を言うルーシーから溢れる、底知れぬ温かさ。不気味とも感じられるような。印象的な台詞だった。

ルーシー大好きだったな。チャーミングな振舞いの中に垣間見える冷酷さ、厳格さ。わけのわからないことばかり言っているのに、「怜悧な女性」という印象を受ける独特の雰囲気。魅力的だった。ロムさんのお芝居は初めて拝見したのだけど、大好きになりました。またどこかでお会いできたらいいな。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA